あまり政治的な話題は書かない方なのですが、
今回の自民党総裁選で、小泉進二郎氏の
「2030年度までに平均賃金を100万円増」
という打ち出しを見て、「マジか…」と呟きました。
5年で100万円増。
インパクトはすごい、さすがにこれは話題になるな。
インパクトはあるけど、
実行可能性の裏付けが弱すぎるのが、残念でなりません。
発表会見では「平均賃金100万円増」のフレーズだけが先行しており、
どのように実現するのかの道筋は、
ほぼ語られていませんでした。
これから詳細が語られるのかもしれませんが。
これ、何度もFBやブログにも書いていますが、
そもそも政府や政治家が賃金を決められるわけではありません。
政治家や政党が「100万円増」と宣言しても、
実現手段は極めて限定的です。
そもそも賃金水準は企業業績や労働市場の需給で決まります。
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まず、企業が賃金アップを図るには
■利益を増やす
・単純な話ですが、利益が無ければ昇給設計はできません。
・もっと言えば利益が継続して確保できる
ビジネスモデルでないのであれば、昇給設計は難しい。
・更に言うのであれば、いくら決算書が黒字でも
キャッシュフローが悪ければ、昇給設計は難しい
(まあ決算書が黒字であれば、
融資でつなぐことも可能かもしれませんが、それも一時的)
■内部留保の取り崩し
・内部留保が大きい場合には、
留保資金を昇給原資にする選択はできます。
・政府は大手向けに、ここも狙っているのかもしれませんが、
先行き不透明な時代、景気も不安定な時代、
留保が無ければ企業の生き残りが難しい。
何かあっても政府補償がほとんど無い場合も多いことを、
企業は身を持って学んでいますから。
・また中小企業は、その内部留保という
企業体力をつける余裕も無い場合も。
■価格転嫁
・原材料費や労務費を価格に転嫁できなければ、
企業体力は持ちません。
・だがしかし、ここも「価格転嫁しなさい」と言うだけで、
中小企業向けの施策が乏しいのが現実。
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政府が「賃金アップ」を掲げても、
現実を無視すれば、それは「押し付け」に他なりません。
努力するのは企業。
また、名目で賃金が100万円増えても、
物価上昇で実質購買力が目減りすれば、意味がありません。
「賃金支給額」ではなく、「手取り」でしょうし、
「手取り」よりも、実質賃金が改善しなければ
生活は変わらないのです。
じゃあ、なんでこんなに日本は賃金を上げられないのか。
それは、日本企業の98%を占める中小企業の収益力の低さや、
労働生産性の低さ(先進国の中で日本の生産性は下位)
が要因でしょう。
そして大手は春闘で賃上げできても、
シワ寄せが下請けや協力会社に行く構造がそのままであれば、
賃上げは難しい…
だから
●大手の内部留保の取り崩し策を
(設備投資や人材投資などに回して、消費循環を)
→賛否両論かな…
●中小企業の労働生産性を高める環境整備
(DX/AIを中心とした設備投資や人材育成)
→ここに国の施策がほしい
●公正な価格転嫁を徹底する施策と仕組み
(業界ごとに異なる)
→ここは施策だけではなく実務的なサポートがあれば
●減税政策(消費税や社会保険料負担の軽減)
→減税すると国の財源問題が出るのですが、
これも国として企業への投資だと思ってほしい、
そして全体設計の上で回収できるスキームがほしい。
といった現実的な政策がなければ、
そして企業努力がなければ、日本の賃金はいつまでも増えない。
企業に向けて「賃金を上げろ」という掛け声だけでは、
根本的な仕組みは変わらない。
他の候補では、少しは具体策が出ている方もいるので、
そこに期待なのかな…

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