ファミリービジネス

日本の多くの中小企業がファミリービジネス。
オーナー企業、同族企業は上場企業の50%以上。
中小企業に至っては90%以上だそうです。

当社も、中小企業専門なので、
ご多分に漏れずファミリービジネスの企業様に
関わることが多くあります。

特に人事制度設計では、
後継して4~5年目に、お声がけいただくことが多いようです。

おおよそ方向性も見いだせて、どこから着手すればわかり、
具体策を講じるには、仕組みを変えなければと、
お考えになるのかもしれません。

人事制度は人に関する基幹の仕組みなので、
評価も賃金も変えるとなると、
「人に対しての扱いをどうするか」
という根本課題にブチ当たります。

要は、どんな人に賃金を払いたいのさ、
という議論が勃発し、先代と現社長の方向性が違ったり、
後継がうまくいっていないと(名目上の代表権などではなく)、
ここが平行線になっていくケースが多々あります。

たくさん給料払ってあげたいけど、
でも今のビジネスでは市場が縮小するばかりだから、
原資が確保できないよね、
でも従業員を辞めさせることはできない…
となるともう、ビジネスの方向性の問題にもなってきますし。

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これまで、この後継すごい!と感じたのは、とある飲食店の先代。
長男に後継を心づもりしたのは、実際の後継よりも15年程度前。
その頃から、社内外に後継について伝え、
そのための布石を徐々に敷いていっていました。

社内に後継者とともに育つ次期リーダーを数名抜粋し、
周辺に後継のための専門家を置き、
段階的に徐々に引き継いでいったと感じます。

最終的に財務・銀行関係を完全に引き継ぐ頃には、
地盤も固まって、
後継者は内外ともに立派な経営者と認識される
立ち位置になっていました。

その先代は、今も私の尊敬する経営者です。
この飲食店は、本当に力強い企業となっています。

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そして昨日は、とある企業の、
とある部署の方向性会議に同席させていただきました。
現在、多角経営をされているこちらの企業様。
先代が起こした部署について、
現社長と先代と、その他の要職者が参加しての会議。

昨日は第3回で、私は今回、人事制度見直しの一環で、
ファシリテーターとして参加。

先代と現社長は親子なので、バチバチと火花が出ることもありますが、
客観的に聴いていると、本当は同じ方向性であり、
同じことを言っているんだなと思うことが、多々あります。

でも全くアプローチが違うので、
意見が異なっているように見える。
先代は「ビジネスの在り方」について語り、
現社長は「ビジネスのやり方」について語る。

でもね、親子だから、引くに引けないこともあったり、
言い過ぎてしまうこともあるようで…
これは、こちらの企業様に限らずだと思います。

これまで、たくさんのファミリービジネスに関わらせていただき、
本当に「あるある」ですよね。

ただ、こちらの企業様、社長すごいなと思うんですよ。
だって、常日頃バチバチの状態から、正面きって、
このように話し合いの場を設定して、
何回も何回も、丁寧に時間をかけて話し合うって、
ファミリービジネスの場合、なかなか出来ない。

何も言わずに、先代が起こした部署の方向性を、
えいや!と変えることも出来る状態ではあるんですよね。

でも、きちんと先代をリスペクトして、
でも伝えるべきところは伝える。
しかも、外部にファシリを委託して実施するあたり、すごいと思います。

先代をいなしながら、するするとやってしまうケースもあるし、
強引に突っ走るケースもあるけれど、
こうやって正面切って話し合うって、勇気も要るし、
面倒な手続きではあるけれど、大きな価値を手に入れるな、と思います。

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